第13回見栄えのいい「幼保無償化」に割かれた予算 保育の質は二の次に

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 待機児童解消のため、この10年ほどで保育園は急増しました。ただ、「質」の確保は二の次になっていたのではないかと、保育問題に詳しいジャーナリストの中野円佳さんは指摘します。

 最近は、各地の保育園で不適切な保育も相次いで発覚しています。園によって「質」にバラツキがある現状を変えるには、何が必要なのか。詳しく聞きました。

 ――保護者として、また取材する立場として、いろんな保育園を見て来て、気づいたことはありますか。

 もう10年くらい前になりますが、自分の子の保育園を探していた当時、いわゆる保活の前に、育休中に複数の保育園で一時保育を使いました。

 無認可でも手厚いと感じる保育をしている園もあった一方で、認可でも経験の少ない保育士さんばかりのところには不安を感じたことがありました。そういうところでは「一時保育だから、いつも通っている子とは扱い方が違うのかな」と思ったりもしましたが、いろんな園を利用すると、必ずしもそうではないことがわかりました。

 例えば、ミルクのあげ方一つとっても、園によって大きく違います。「うちでは決まった時間にミルクを作っていて、そのタイミングで飲まなければ次の時間帯まであげません」という園がありました。当初は「園に合わせないといけないのかな」と思いましたが、別の園では「子どもごとに欲しがるタイミングであげています」と言われました。大人の都合より、子どものリズムを優先してくれる園なんだなと感じたのを覚えています。

少しでも気になることがあれば

 ――一般的には、複数の園を見る機会はあまりないですし、保育のやり方に違和感があっても、「こんなものかな」と思い、なかなか言いづらいかもしれません。

 保育園での死亡事故を取材した際、被害に遭われたお子さんの親御さんに聞くと、「ちょっと不安」「ここで預けて大丈夫か」という印象があったとおっしゃっていました。でも普通は「預かってもらえるだけありがたい」「そこの園にしか入れなかった」などと考えて預けてしまう。それでわが子が戻ってこないようなことになれば、悔やんでも悔やみきれないと思います。

 少しでも気になることや不安に感じることがあれば、直感を信じて、保育士や園長とコミュニケーションをとってみてはと思います。「あざがあった」などの虐待が疑われるようなことでなくても、です。

 たとえば「すごく遅刻したのに何も言われなかったけど、ちゃんと出欠確認をとっているのかな」と気になったならば、直接確かめる、といったことです。

 ――「クレーマーだと思われたらどうしよう」と、ためらってしまう親も多いです。こうした風土を変えていくにはどうしたらいいのでしょう。

 北欧のある国では、保育園の…

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