文化財の保存に必要な24時間の温湿度管理 光熱費高騰に悩む博物館
ロシアのウクライナ侵攻などによる燃料価格の高騰は、博物館の運営にも影を落としている。文化財の保存には適切な温度や湿度の管理が必要で、空調を止めるわけにはいかないからだ。光熱費が例年の倍以上に膨れあがっている施設もあり、文化財の修理や購入にも影響しているという。
「予算が足りない!」 東京国立博物館長が寄稿
「国宝を守る予算が足りない!」
こう題した、東京国立博物館(東博)の藤原誠館長の寄稿が1月発売の月刊誌「文芸春秋」に掲載された。光熱費高騰による苦境を訴える内容だ。
昨年、創立150年を迎えた東京・上野の東博。本館や東洋館など6館の展示施設を持ち約12万件の文化財を所蔵する、国内最大級の文化施設だ。昨年12月まで開いた特別展では、所蔵する国宝89件を一挙に公開し、活況だった。
だが、光熱費の問題が現場を悩ませている。東博によると、年間の光熱費は例年約2億円で予算全体の7%ほどを占める。しかし今年度は倍以上の約4億5千万円に膨らむ見込みといい、各部署で支出を減らすなどして対応している。
担当者は「東博は展示施設が多い上、貴重な文化財を守る収蔵庫では原則24時間、空調が稼働している。仏画や書跡など古い紙や布は特に脆弱(ぜいじゃく)で、退色や腐食を防ぐためにも徹底した温度と湿度管理が必要」と話す。
文化財の修理や購入を延期するケースも
東博などを運営する独立行政…
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