「余命1年」のがん宣告 私を救ったユーミンと息子からのメッセージ

有料記事がんとともに

構成・熊井洋美
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 川崎市の高田洋子さん(55)にとって、人生で一番苦しく悲しかったのは、息子の俊輝(としき)さんが22歳で天国に旅立った日だ。

 俊輝さんは生まれてすぐに低酸素性虚血性脳症を発症し、2~3日の命と宣告された。

 一命は取り留めたが、脳のダメージが大きかった。医師の診断は「目も見えず耳も聞こえず、口から食事も取れない」だった。

 首がすわらず、胃に直接栄養を送る胃ろうをつくり、たんの吸引など24時間目が離せない重い障害が残った。

 俊輝さんの介護や看護に明け暮れる日々が始まった。

 「耳が聞こえない」といわれた俊輝さんだったが、家族が声をかけたり、部屋に常に音楽を流したりすることで、次第に聴力を取り戻し、音楽を楽しめるようになった。

 笑顔で一生懸命に生きる俊輝さんに、いつも家族は励まされた。成人を迎えたとき、家族で感謝の言葉を贈った。

 家族になってくれてありがとう! これからもよろしくね!

 しかし成人式から2年後の2018年2月18日、俊輝さんは穏やかに息を引き取った。

 洋子さんは、毎日泣いて暮らした。でも、2カ月を過ぎたころ、息子からのメッセージをふと感じた。

 これからはママがやりたいこ…

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