マスク着用を「内面化」した日本 外しやすくするには何が必要か

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聞き手 シニアエディター・尾沢智史
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 日本では、マスクの着用が「要請」で行われてきました。倫理学者の児玉聡さんは、マスクがマナーとして「内面化」されたことで、「マスクなし」への切り替えが難しくなったのではないかと指摘します。そもそも政府が、「マスクをつける」「つけない」を決められるのか。その際にはどんな条件が必要か。倫理学の視点から考えてもらいました。

 マスク着用を個人の判断に委ねるといっても、そう大きな変化ではないように思います。海外では、公共交通機関や店内でのマスク着用を義務化し、しない場合は罰則を科した国もありました。一方、日本のマスク着用は、飛行機の中などを除けば、あくまで要請で、厳密な意味での強制ではなかったからです。

 どんな場合にマスクの着用を強制できるか。19世紀英国の哲学者ミルの「他者危害原則」が参考になります。個人の自由を最大限尊重し、例外的に他人に危害を加える行為は規制してもいいとする。典型は喫煙です。二次喫煙で他人に危害を与えるリスクが高ければ規制可能ですが、喫煙室で吸う場合のように他人に危害がなければ自由にする。

 ただ、マスクは難しいところ…

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