第10回嫌われない定年後を過ごすために 「定年がない」郷ひろみさんの直言

有料記事定年クライシス 居場所はどこに

島脇健史
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 定年後の夫と「夫源病」で心身不調となる妻を描いたドラマ「定年オヤジ改造計画」。主人公の定年後男性を演じた歌手の郷ひろみさん(67)は、「男子が厨房(ちゅうぼう)に入ってもいい」「皿洗いが誰よりもうまい自信がある」と話します。その心は――。

 ごう・ひろみ 1972年に「男の子女の子」でレコードデビューし、2022年にデビュー50周年を迎えた。23年6月7日にニューシングル「俺は最高!!!」をリリース。現在は大規模全国ツアー「Hiromi Go Concert Tour 2023 NEW INTENTIONS」を開催中。

 ――出演依頼を受けた時のことを教えてください

 僕の場合、「定年」というものがありません。体験したことのない役で、まさにチャレンジでした。

 ――38年の会社員人生を勤め上げた主人公・常雄にはどんな思いがありますか

 常雄は、妻や子どもには間違いを認めにくい人でした。妻も子も年下ですからね。でも、最後には、素直に自分の非を認める「気づき」がありました。

 僕も、色んな人に耳を傾けるべきだと、常々思っています。

 僕にしかないキャリアや経験はあります。でも、ひけらかすと周りの人はひいてしまう。いざというときに「こう思うよ」と、自分の中から引き出されることが大切だと思います。

ドラマ「定年オヤジ改造計画」

 庄司常雄は大手石油会社を定年退職し、幸せな定年後を夢見ていた。だが毎日家にいる夫の無理解な言動に、妻は「夫源病」を患い、娘にもキレられる。息子夫婦からは孫の保育園のお迎えを頼まれ、常雄は家族や家事と向きあうことになる。 原作は垣谷美雨さんの同名の小説。昨年NHKで放送された。

 ――「間違いを認めたくない」定年後の男性もいそうです

 「このドラマを見て」というしかない(笑)。

 ドラマを見ても、「俺はこんなんじゃない」という定年後の男性がいるかもしれない。でも、妻からそう思われているということは、どこかで常雄のような部分があると認識するしかない。

 「気づき」は1回では起きません。小さなものから少しずつ大きくなっていきます。

 ドラマ放映後、「すばらしかった」と、反響は大きかった。ただ、「身につまされたよな」という男性の声は聞かなかった。みんな素直には認められないんでしょうね。

 僕は元々、「男子厨房に入る…

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この記事を書いた人
島脇健史
神戸総局|選挙・震災担当
専門・関心分野
地方行政・選挙、気象・災害、地域医療

連載定年クライシス 居場所はどこに(全12回)

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