阿川佐和子さん、対談連載30年の情報収集法 ネット検索で失うもの

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島崎周
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 週刊誌での対談連載が今年で30年目を迎えた作家・エッセイストの阿川佐和子さん。これまでインタビューした相手は、1400人以上にのぼる。どのように情報収集をしているのか。阿川さんなりの「検索」について聞いた。

 ――週刊文春での連載「阿川佐和子のこの人に会いたい」は、1400回を超えましたね。

 誰も祝ってくれないけれど(笑)、今年で30年目になります。気がついたら30年経っていたという感じです。

 ――インタビューの前に、必ず資料を取り寄せて情報収集されているとか。

 対談相手が過去にどんな発言をしているのか。どういう媒体でとりあげられているのか。そういうことを調べるために必ず、雑誌専門の図書館「大宅壮一文庫」(東京都世田谷区)で取り寄せた資料を読んでから臨みます。30年間、ずっと続いているルーチンです。

完璧に読むと油断が生まれてしまう

 ――情報収集のためには、とにかく量が大事なんでしょうか。

 編集担当者が、紙袋二つ分にもなる資料を大宅壮一文庫から取り寄せて、「読めないよ!こんなに」ってなったこともあります。

 でもそもそも私、資料を読むのが、実はとても苦手なんです。読み切れなくて、そのまま朝になっちゃったなんてこともしばしば。

 ただ、これは私の言い訳なん…

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この記事を書いた人
島崎周
東京社会部|文部科学省担当
専門・関心分野
性暴力、性教育、被害と加害、宗教、学び、人権
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    辛酸なめ子
    (漫画家・コラムニスト)
    2023年7月16日11時0分 投稿
    【視点】

    阿川さんの対談記事から、その場の空気感が伝わってくるのは、想定外のことも恐れず、いい意味で流れに任せているからなんですね。もちろん資料も熟読され、同じような質問はしないという姿勢からも学ばされます。芸能界の方のインタビューは気を遣うことが多

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    田渕紫織
    (朝日新聞社会部記者=メディア、子ども)
    2023年7月16日18時23分 投稿
    【視点】

    斬新な企画の芽は、回り道で目に入る「周辺」に埋まっていると分かっているから、編集者や記者は大宅文庫や図書館や書店に通うのでしょう。 検索エンジンの技術は進み、ついに検索結果の要約が表示されるようになりました。検索結果の中からどのサイト

    …続きを読む