コロナ5類移行、非正規公務員に大きなしわ寄せ 労働団体職員の警鐘
労働団体職員・文筆家 西口想さん寄稿
ふだん私は、労働組合のフルタイムのスタッフとして働いている。仕事上の必要もあって、新型コロナウイルスの感染拡大が始まってからは、この未曽有の感染症と働き方との関わりに注目してきた。
この3年半は本当にいろいろあった。政府のいきなりの休校要請と親の職場の大混乱。休業と補償の不均衡。緊急避難的に広がったテレワーク。非正規雇用を中心としたシフトカットや雇い止め、などなど。感染を避けながらも働かなければいけない私たちに、労働問題が怒濤(どとう)のごとく押し寄せた。
新型コロナは、日本社会が抱えていた、働く上での課題を可視化した面もある。そのひとつは、「どうやって誰もが安心して仕事を休める職場をつくるのか」というものだ。
新型コロナの感染拡大前まで、日本では市販の風邪薬が「風邪でも、絶対に休めないあなたへ」というコピーで大々的に宣伝されていた。
2020年2月、この有名なコピーに反対するオンライン署名が始まり、その後まもなく製薬会社はコピーを修正した。これは、「風邪などで体調が悪くても休暇をとらず出社する」という暗黙の社会規範の変節を示している。
新型コロナをきっかけに、従来の働き方や、職場の文化に対する人々の感性は揺れ動くようになり、今日現在も問い直しが続いている。
非正規の地方公務員、12年で約20万人も増加
新型コロナは今年5月8日、感染症法上の「5類」に移行され、季節性インフルエンザなどと同じ分類となった。様々な制限が緩和され、社会生活が再び活発になった一方で、第9波となる感染拡大が始まったと言われる。
この5類移行をきっかけに、皮肉にも、正規雇用と非正規雇用の間にさらに格差を生じさせた職場がある。それは全国の官庁や役所、公的機関など、公務の職場である。
近年、「非正規公務員」というキーワードで、公務の非正規雇用の問題が知られるようになった。政府データを元にした日本国家公務員労働組合連合会(国公労連)の試算では、12年からの10年間だけを見ても、国家公務員として正規職員と同じような業務を担う非正規職員は約1万5千人増加し、国家公務員全体の4人に1人を占めている。地方自治体で働く非正規公務員も、総務省によると08~20年で約20万人増えた。いまや、住民の失業や困窮、DV被害などに対応する公的機関の窓口職員がほとんど非正規公務員であることも珍しくない。
公務員は、コロナ禍にも人びとの命や暮らしを支え、エッセンシャルワーカーとして再認識されたが、その最前線を担う非正規公務員の4人に3人は女性である。同じ職種の正規職員の年収の3~4割ともいわれる著しい賃金格差があり、日本がジェンダー平等の後進国に位置づけられる一因となっている。
さらに1年以内の細切れ雇用が繰り返され、民間企業の労働者のような無期転換権もなく、在職中でも数年ごとに公募にかけられるため、当事者から「パワハラ公募」と呼ばれている。
そして、新型コロナの5類移行後に、「休暇」をめぐってさらなる非正規差別に直面している。
公務の職場では、職場での感…