「アーバン・ベア」にとどまらないヒグマの脅威 牛66頭襲ったオソ
北海道でいま、ヒグマが「変容」している。その脅威は「アーバン・ベア」と呼ばれる都市型のクマにとどまらない。
今年7月、道東部で放牧中の牛66頭を次々に襲い、地元から恐れられ続けたオスのヒグマ「OSO(オソ)18」が射殺された。
始まりは19年7月、標茶町オソツベツ地区で死んでいる牛が見つかった。翌月には数日おきに牛が襲われ、19年だけで28頭が被害にあった。
現場の足跡や毛を分析し、同一個体による被害と判明。足跡の幅と最初の被害地区名から名前が付けられた。
被害にあった道東部の牧場をこの夏に訪ねた。
標茶町の酪農家で牛5頭が襲われた佐藤守さん(64)は「まさか、クマにやられるとは思わなかった」と今も驚きを隠さない。20歳から酪農を営み、周辺でヒグマをよく目撃してきたが、牛が襲われたと聞いたことはなかった。
なぜ、オソは生まれたのか――。
調査団体「ヒグマの会」の山中正実理事は「事故で死んだ牛を食べ、味を覚えてしまったのではないか」と分析する。
道東部の釧路町で7月30日に射殺されたヒグマが後にオソと判明したが、地元が追跡を強める中でオソは4年間牛を襲い続け、被害を食い止めることはできなかった。
家畜被害をもたらすヒグマの実態は明らかとは言えず、どう対応すべきだったかの課題は残る。
いま地元関係者は「第二のオソが現れかねない」と警戒を強める。ヒグマはもともと学習能力が高い。ふとしたきっかけで変容すると、人や家畜を襲うようになるためだ。
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