第1回現在進行形の戦場、ウクライナ兵が見た現実「クラスター弾しかない」
平原のなかに突然現れたいくつもの白い煙から数十人のロシア兵が走って逃げていく。
ウクライナ軍がクラスター弾を使って、東部ドネツク州ウロジャイネでロシア軍の歩兵を攻撃した時の様子だ。
クラスター弾
親爆弾と呼ばれる大型の砲弾から、子爆弾と呼ばれる数十~数百個に及ぶ小型爆弾が空中で飛び散り、サッカー場数面分ともされる範囲を攻撃できる。一方で範囲が広いために民間人を巻き込んだり、その場で爆発しなかった子弾が何年も後に爆発したりする危険もある。
8月13日に軍のSNSに投稿されたドローンからの空撮映像とみられるその動画は、ウクライナ軍が米国から7月に供与された新たな兵器の威力を見せつけた。
クラスター弾は、親爆弾から多数の子爆弾が飛び散り、広範囲の敵を攻撃する。動画では、平原で少なくとも数十の爆発が起きた。ドローンが映すモニター映像のほぼ全体が、煙で白くなるほど攻撃は広範囲にわたった。
翌日に投稿された別の動画では、道路を疾走するロシア軍の歩兵戦闘車が、火山の噴煙のようないくつもの白い煙に囲まれて走行不能に陥る様子も記録されていた。
クラスター弾はその威力や効果の一方で、子爆弾が不発弾として長期にわたって残り、民間人を殺傷する危険が大きい。そのため近年、国際的に非人道的な兵器として認識され、120カ国以上が使用や生産を禁じる国際条約に参加している。米国は条約に加わっていないが、その危険性を認め、長らく使用を控えてきた。
昨年2月に始まったロシア軍によるウクライナ侵攻で、ウクライナ軍は兵力や弾薬の数で劣勢に立たされてきた。そのため、反転攻勢を仕掛ける前線の部隊からは、規模で勝るロシア軍を撃退するための切り札を求める声が上がっていた。
最前線のウクライナ兵が明かす「強み」
「弾薬が不足しているウクライナ軍に最も必要な兵器」
「現在進行形」の戦闘でクラスター弾が使われているウクライナ。前線の兵士がその詳細を語ります。一方、エスカレートを懸念する兵士の声もありました。
それこそが敵を「面」で攻撃…
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