岸田文雄首相の足元の揺らぎが、ますます顕在化してきた。組織的な裏金作りの疑惑が直撃した自民党安倍派の一掃を図ったが失敗に。後任人事でも意中の無派閥議員に固辞された。人事すらままならなくなった事態に「ポスト岸田」へのうごめきも強まっている。
無派閥からの起用を狙うも……
浜田靖一前防衛相のもとに首相の「使者」が現れたのは12日午後のことだった。首相随一の腹心である木原誠二幹事長代理は、首相の意向だと前置きしたうえで、こう打診した。「官房長官をお願いしたい」
裏金疑惑が浮上した松野博一官房長官の後任に、首相が狙いを定めていたのは無派閥議員だった。浜田氏もその一人。組織的な裏金作りが疑われる安倍派だけでなく、それ以外の派閥も政治資金パーティーをめぐる不記載の問題を抱え、世間からは他党にない自民党政治の特徴である派閥の存在そのものに不信の目が向けられている。無派閥議員の中でも浜田氏は9月まで防衛相を務め、答弁も安定。首相とは1993年の初当選同期で、首相の最大の後見役である麻生太郎副総裁も推していた。
だが、浜田氏は首を縦に振ら…
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