「人質司法」の末、被告のまま亡くなった父 「裁判所は振り返って」
「判断の根拠欠如は明らか」「捜査を尽くしていない」。大川原化工機を巡る事件で、27日の東京地裁判決は逮捕、起訴について厳しい言葉で違法と断じた。約11カ月間勾留された社長らは、「なぜ不正が起きたのか、検証し謝罪してほしい」と訴えた。
東京地裁103法廷。社長の大川原正明さん(74)は、裁判長が読み上げる判決をうなずきながら聞いた。「適切な判断をしてもらえた。警視庁と検察庁にはしっかりと検証し、できることなら謝罪してほしい」
訴訟では、同社の噴霧乾燥機の性能について、警視庁公安部がどう認識していたかが争点となった。判決は、公安部が性能を調べるため必要な温度測定をしなかったと認定した。
判決後に大川原さんは記者会見し、社員らが性能実験を繰り返して無罪を証明したと振り返り、「誇りを感じるとともに、もし技術的に証明されていなかったら有罪にされていたかもと感じる」と話した。
会見には同社元役員の島田順司さん(70)らも出席した。島田さんは公安部の取り調べで、捜査員に誤った法解釈を伝えられたり、発言していない内容の供述調書を作られたりした、と主張してきた。判決は「偽計を用いた取り調べ」「自由な意思決定を阻害することが明らか」と違法性を認めた。
事実解明や名誉回復は一定程度果たされたと感じる。だが、求めるのは再発防止だ。島田さんは「なぜ起きたのか、二度と起こさないために何をしたらいいのか検証してほしい」と話した。
8回の保釈請求届かず 「裁判所は振り返って」
同社顧問だった相嶋静夫さん…
- 【解説】
裁判官は「令状自動発券機」と揶揄されることがある。請求されればほぼ自動的に令状を発付してしまうからである。 2022年の逮捕状請求に対する却下率はわずか0.1%。 勾留請求の却下率は3.8%。 勾留延長請求の却下率は0.3%。
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