近視眼の解決よりレジリエンス 斎藤幸平さん、気候危機対談を終えて
経済思想家の斎藤幸平さんが、「知の巨人」と評される経済社会理論家のジェレミー・リフキンさんと、気候危機を乗り切るための変革について話し合いました。自然の脅威を前に、自然との共生を可能にする科学技術や、民主主義のあり方もテーマになりました。能登半島地震の被害が広がるなか、斎藤さんが対談を振り返る論考を寄せました。
斎藤幸平さん 寄稿
リフキン氏とのこの対話は2024年が幕を開ける、その少し前に行われた。そして元日。北陸を襲った震災が、13年前の原発事故の記憶も呼び覚ますなか、改めてリフキン氏の言葉をかみ締めた。「科学技術によって、人間が自然を支配する『進歩の時代』は終わったのだ」
さらに踏み込んで言えば、「進歩の時代」などというものは、そもそも一度も実現したことのない幻想だったということだろう。人間が自然環境を破壊することはあっても、自然をコントロールできるという思い込みはフィクションにすぎない。実際、地震や津波の前で私たちは結局、無力な存在なのである。
それでも、イノベーション信…
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- 【視点】
斎藤幸平さんとリフキン氏の夢の対談、興味深く読みました。「知の巨匠」の半分の年齢の斎藤さんが堂々と語り合う様は圧巻で、なぜか誇らしくもなりました(笑)。両者の「レジリエンスの時代」への危機感、展望に大きく頷く部分もあり、また解決策としての「
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