母に強いられ苦しんだ中学受験 30年後に気づく「教育虐待」の影響

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高浜行人
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 中部地方に住む40代の会社員の男性は小学校のころ、週6日間、習い事に通っていた。

 小1でスイミング、小3で習字、小4からは学習塾……。多忙を極めたが、どれ一つとして、自分が望んで始めたものはなかった。全て、専業主婦の母が勧めたものだった。

 母は男性が小さいころから多くの育児本を読み、食事は無添加にこだわった。いわゆる「教育ママ」だったと思う。

 高学年になると、中学受験もすることになった。母が「将来のためだ」と決めた。いつの間にか志望校も決められていた。

 男性は友達と遊んだり、好きな漫画を読んだりしていたかった。たまに長時間遊ぶと、「遊びなんて将来何の役にも立たない」と言われた。漫画も、母の認めたものしか読ませてもらえなかった。

 受験が近づくにつれ、塾の宿題の量が増え、就寝が毎日午後10時を過ぎるようになった。時には日付が変わるころまで机に向かった。

 睡眠不足で、常に眠かった。学校のない日曜日には起きられなかった。

 「もうやめたい」と言ったことはあったが、母から「やめてしまったらサボり癖がつく」と言われてやめられなかった。父は仕事で忙しく、ほとんど会えなかった。機会をみて訴えても、返ってきたのは「血を吐くまでやれ」という言葉だった。

望まない中学受験に挑まざるを得ず、苦しんだ男性。こうした過干渉は、中高生になっても続きます。大人になってから現れた、その負の影響とは。受験などで子どもが親に追い詰められる「教育虐待」の実態に迫ります。

「つらさに耐え、精神を鍛えることで強くなる」

 母からはよく、「我慢しない…

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この記事を書いた人
高浜行人
東京社会部|教育班キャップ
専門・関心分野
学校教育、受験、教育行政
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