残るか、避難か 首長のリーダーシップ必要 中越地震・山古志の教訓

有料記事能登半島地震

聞き手・関根慎一
[PR]

 道路や水道などのインフラが大きな被害を受けた能登半島地震。同様に中山間地が被災した2004年の新潟県中越地震では、全村避難した旧山古志村(現長岡市)で「帰村」に3年を要した。当時の対応を担った元山古志支所長の青木勝さん(73)に、今回の地震の被害や避難生活をどのように見ているか尋ねた。

 ――発災から2週間が経とうとしていますが、被害の全容がわかりません

 「中越地震とは規模が違うが、過疎地域で行政や地域の力はこの20年で大きく変化した。一つの要因は市町村合併だろう。この間、能登半島でも合併が進んだ。末端の行政は小さいほど住民に近く、小回りが利き、情報も取れる。山古志では行政区長が『この人は普段、何時に出かけて何時に帰宅する』くらい住民のことを熟知していた。長島忠美(ただよし)村長(故人、当時)や村職員は14人全ての区長らと密に連絡を取り、住民の状況を逐次把握していた。発災2日後には全村民が隣接する長岡市への避難を終了できた」

 ――避難所でもコミュニケーションを取っていましたね

 「仮設住宅に入るまでの1カ月半、体育館など計8カ所の避難所に村長と住民の『交換ノート』を設置した。住民が要望を書き込み、村長が毎日、目を通して返事を書いた。2年で村に戻る『帰村目標』は、目標を示すべきだという書き込みを受け止めたもの。他にも避難所で細かなニーズをくみ取った。住民と向き合って要望を聞き、対応を取る。地道だがその繰り返しが必要だ」

 ――地域を離れる2次避難をためらう被災者も多いようです

 「インフラ復旧には相当な時…

この記事は有料記事です。残り1310文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【初トクキャンペーン】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら

能登半島地震

能登半島地震

2024年1月1日午後4時10分ごろ、石川県能登地方を震源とする強い地震があり、石川県志賀町で震度7を観測しました。被害状況を伝える最新ニュースや、地震への備えなどの情報をお届けします。[もっと見る]