通常国会、初日の首相演説見送りなど異例の幕開け 焦点は政治改革
通常国会が26日、開会した。会期は6月23日までの150日間。自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる事件を受け、真相解明や再発防止に向けた政治改革論議が最大の焦点となる。通例は衆参両院で初日に行われる首相の施政方針演説が見送られるなど、波乱の幕開けとなった。
与野党の国会対策委員長は同日、国会内で会談。立憲民主党の安住淳国会対策委員長は自民側に裏金問題の全容解明を求め、関与した議員が出席する政治倫理審査会(政倫審)の必要性を訴えた。会談後、安住氏は記者団に「真相解明をする責任は岸田文雄首相にある」と強調した。
野党側は今回、1年間に取り組む重点課題や、政治姿勢などの基本方針を説明する施政方針演説に先立ち、「政治とカネ」をめぐる衆参予算委員会の集中審議を要求。集中審議を29日に先行して開催し、首相演説は30日に見送られた。
また自民は、野党側の要求を受け、裏金事件に関与した安倍派の衆参両院の委員長など計11人を交代させた。同党では派閥の解消や離脱をめぐる混乱が続いており、今国会は冒頭から異例の展開となっている。
野党は、歳出総額が112兆円超となる来年度当初予算案の審議と並行し、予算委での追及や政倫審の開催などで裏金づくりの全容解明を要求。自民は政治改革に向けた「中間とりまとめ」を決め、政治資金規正法改正などの与野党協議に入りたい意向だが、中身の隔たりは大きく、難航が見込まれる。
通常国会では、能登半島地震の復旧・復興への道筋や、政府が1兆円に倍増させた予備費の是非が問われるほか、1人4万円の定額減税を中心とする税制改正関連法案、少子化対策の財源の裏付けとなる子ども・子育て支援法改正案などをめぐって論戦になりそうだ。