医学部に入るには 「女性差別」があった国と「くじ引き」で決める国
記者コラム「多事奏論」 岡崎明子
「ひざが痛い」と病院を転々とするも治らぬ夫が不憫(ふびん)で、仕事柄、多少の医療知識を持つ私が付き添うことになった。夫いわく、3カ所目となる病院の医師は「2週間後には治っているはず」と豪語したそうだが、全くその気配はない。信頼できるのか、品定めの意味もあった。
当日、一緒に診察室に入り、脇のパイプ椅子に座った。だが医師はパソコンに向かったままで、私を一顧だにしなかった。それどころか、夫のひざも診ずに次回の予約を入れようとした。「これはダメだ」。再度、転院が決まった。
医師といえば、理系で成績が良い受験生がこぞって医学部に挑む「医学部偏重」が続く。毎年、半数近い生徒が医学部に進む高校を卒業してから間もない知人いわく「医師という仕事を熱望というより、資格の強さや収入、見栄えの良さで希望する人も多かった」とふりかえる。
わが子に「安定した仕事に就いて欲しい」と考える親の「圧」も大きいだろう。裏を返せば、理系の優秀な人材にとって、やりがいも、待遇も満たされる仕事が少ないということだ。
だが、偏っているのは進路だ…
- 【視点】
先日「くじ引き民主主義」というテーマの記事を読みましたが、こちらは「入試のくじ引き制」。 一見かなり突飛な議論のように感じつつも、どちらも実際に過去に行われており、「金持ちにばかり有利な今の状況を解消する」という点で共通していることに気付き
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