よっ!鏡獅子 平櫛田中の代表作、21年ぶり「里帰り」 岡山・井原

小沢邦男
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 岡山県井原市出身で日本近代彫刻界の巨匠といわれる平櫛田中(ひらくしでんちゅう、1872~1979)の代表作「鏡獅子」が、21年ぶりに「里帰り」を果たした。市立平櫛田中美術館で常設展示され、見る者を圧倒する力強さと美しさにあふれる姿を間近で楽しむことができる。

 鏡獅子は高さ2・32メートル、幅2・46メートル、奥行き1・82メートルの彩色された木彫作品。新歌舞伎十八番の一つ「春興鏡獅子」を舞う六代目尾上菊五郎をモデルとする。64歳だった1936年に着手。戦争の激化などによる中断を経て、86歳となった58年に完成した。

 66年にオープンした国立劇場(東京)の正面ロビーに、ガラスケースに入った状態で設置されていた。同劇場が建て替え工事に入ることから、所蔵する東京国立近代美術館に平櫛田中美術館が貸し出しを打診した。展示は工事期間にあたる約5年半の予定。同館では88年、2003年の特別展以来のお披露目となる。

 1階展示室に姿を現した2メートル超。高さ1メートルほどのアクリルフェンスで囲まれているが、さえぎるものはなし。右足は大地を力強く踏みしめ、今にも動き出しそうな姿で静かにたたずむ。そして強烈な眼力で見る者をにらみつける。青木寛明学芸員は「国立劇場にいるときの鏡獅子とは一味違う姿が見られる。作品が発する強烈なエネルギーを感じてもらいたい」という。

 会場には途中で制作を取りやめた未完成品や裸形の試作品など、制作過程が分かる同館所蔵の6点も並ぶ。

 午前9時~午後5時(入館は4時半まで)。入館料500円(高校生以下、市内在住の65歳以上、身体障害者手帳を持っている人は無料)。月曜休館。問い合わせは平櫛田中美術館(0866・62・8787)。

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この記事を書いた人
小沢邦男
岡山総局
専門・関心分野
被災地再生