腸内細菌が多様だと、育児ストレスが低く回復力も高い 京大など分析

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桜井林太郎
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 母親の育児ストレス腸内細菌叢(そう)(腸内にすみつく細菌の集まり)の関係を調べたところ、育児ストレスが高い母親は腸内細菌叢の多様性が低く身体機能も低下していたことが、京都大の明和政子教授(神経科学)や大阪大などのチームの研究でわかった。

 一方、腸内細菌叢が多様だと、リラックスする時に重要な神経活動が高く、ストレスから回復する力(レジリエンス)にもつながるという。

 育児ストレスは母親の精神疾患のリスクを高める一因とされる。予防や症状改善には、ストレスの原因解明だけでなく、レジリエンスの役割が大きいと指摘されている。

 チームは、近年の研究で様々な病気とのかかわりがわかってきた腸内細菌叢に注目した。腸内細菌叢は腸から神経系や免疫系などを通して脳へ働きかけるとされ、産後のストレス変化などの指標になるのではないかと考えた。

 0~4歳児を育てており、病気治療を受けていない母親339人(平均35歳)を対象に、糞便(ふんべん)の遺伝子を解析して腸内細菌叢の多様性や組成を調べるとともに、育児ストレスや身体の症状を国際的な指標で評価した。

 分析の結果、約2割の母親は育児ストレスが高いと評価された。ストレスが低い母親たちよりも睡眠の質が低く、消化不良や女性ホルモン機能の低下といった症状の悪化がみられた。腸内細菌叢の多様性も低く、バランスが乱れた状態であることもわかった。

 特に育児ストレスが懸念され…

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この記事を書いた人
桜井林太郎
科学みらい部
専門・関心分野
環境・エネルギー、先端技術、医療、科学技術政策
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    天野千尋
    (映画監督・脚本家)
    2024年2月29日21時12分 投稿
    【視点】

    産後女性の育児ストレスに特化した、腸内細菌叢の研究。 邪推かもしれませんが、男性ばかりの研究チームだったらこのような研究自体が生まれたでしょうか。(生まれたかもしれませんが) 現代は、昔のように大きな家族や地域の中で子供を育てていた時代と

    …続きを読む