デデデデデデデデデッデーストラクション♪(小原篤のアニマゲ丼)

有料記事小原篤のアニマゲ丼

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 浅野いにおさんは強烈な作品を送り出し続けるマンガ家さんですが、正直ちょっと苦手意識がありました。だから「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション」(通称:デデデデ、2014~22年連載)は興味をひかれつつ読んでいなかったのですが、今は悔やんでいます。22日に公開されるアニメ版の前章(約2時間)がとても面白いから。

 3年前の8月31日、謎の巨大な球体が地球に突如現れ、そこから出てきた全長5000mの円盤(母艦)が東京に飛来、それに向け米軍が新型爆弾を放つ。東京は「8・31」から一変し、なおも空を覆う円盤と、新型爆弾の「残留A線」による汚染が人々の不安をかきたてる世紀末的な近未来で、素直でまじめな女子高校生・門出(かどで)と毒舌ハイテンションな親友おんたんは、いろいろ憂鬱(ゆううつ)な青春をそれなりに頑張って生きているが、母艦から出てきた小型偵察機の残した不思議なメカをおんたんが拾ったことから、2人は人類存亡の危機に巻き込まれていく……。

 8・31に家を出て行方不明の父とA線恐怖症の母に対しあきらめに似た絶望を抱く門出は、担任教師への恋心も不完全燃焼で、「失って困るものなんてないんだからいっそメチャクチャに壊しちゃっていいのに」と母艦に向かってつぶやきを吐きますが、子どもの頃いじめから守ってくれたおんたんだけは絶対の存在です。バディーもの、シスターフッドものの魅力を放ちながら、しかし共依存の危うい匂いもする複雑さ。

 このあたりは、心の闇や裏を…

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