第30回「AIの軍事利用さらに進む」 専門家が語る国際ルール作りの課題

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聞き手 編集委員・佐藤武嗣
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 人工知能(AI)の進歩は、我々の社会や軍事の姿をどのように変えるのか。高度な生成AIの登場でにわかに規制の議論が出始めたが、国際社会がルール作りに本腰を入れる態勢にはほど遠い。AIをめぐる国際的な議論に詳しい市川類・一橋大特任教授に聞いた。

 

 ――AIは技術や社会、軍事にどんな変化をもたらすとお考えですか。

 「AIは日々進化し、社会を大きく変革しつつある。汎用(はんよう)技術として社会のあらゆる分野に使える技術だ。今まで人間が行ってきた知的作業を、抜本的に代替しうる技術であり、今後社会に大きな影響を与える、という見立ては、間違っていないと思う」

 「ただ、それがどう社会を変えるのか、予測は困難だ。インターネットが社会に普及し始めた当初、様々な予測はあったが、いまのインターネットの姿を予想もできなかった。いま脚光を浴びている生成AIについても、現在本格的に使われ始めているのは要約などの限られた分野。ただし、今後は生成AIを使った様々なサービスが出てくるだろうし、10年後、20年後に、どのように発展するか、見通せない」

 「AIの軍事利用もさらに進む。いまは自律型致死兵器(LAWS)の規制をめぐる議論が行われているが、AI技術が日々進化する中で、例えば、AIが今後軍事利用にどのように組み込まれ、安全保障にどのような影響を与えるのかについて、誰も予測できない。このような中、どのようなものを規制対象とし、どのように規制するか、日々議論をしているというのが現状ではないか」

 ――米国や中国は、国家戦略として、AIを積極的に進めようとしています。戦略の特徴は何ですか。

 「世界では、以前からり50…

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この記事を書いた人
佐藤武嗣
編集委員|外交・安全保障担当
専門・関心分野
外交、安全保障、国際情勢、民主主義、ジャーナリズム

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