飛行機とバスが連携インバウンドツアー 「地方の観光地に円滑移動」
埼玉県川越市のバス会社が航空会社とタッグを組んで、外国人観光客向けのモデルツアーを企画した。インバウンド(訪日外国人客)のなかでも地方に関心のある層に「小江戸」の魅力をアピールし、観光客を呼び込む試みだ。
3月23日。大型バスに乗ったタイ人の団体が、川越市にやってきた。最初に訪ねたのは「縁結び」で有名な川越氷川神社。横を流れる新河岸川で舟遊びを楽しんだ。
川岸の桜並木はつぼみで、花こそ楽しめなかったが、参加したラタナスックシー・スパタラーさんは「特別な体験ができたので、みんな喜んでいます」。
一行はその後、「川越まつり会館」を見学し、蔵造りのまち並みを散策した。
その後はバスで新潟県津南町へ。雪の中で特産の「雪下にんじん」を掘る体験をしたり、日本酒の蔵元を訪ねたりと、旅を満喫した。
モデルツアーは、今年2月にタイ・バンコク便を就航させたANAグループ「エアージャパン」(千葉県成田市)とバス会社「イーグルバス」(川越市)が企画した。
エアージャパンは、4月にはシンガポール便も就航予定で、東南アジアのインバウンドをターゲットにしている。日本の地方に関心を持つリピーター客が増えているといい、川越や津南に着目した。
「東京や京都など『定番』以外にも魅力のある場所はたくさんある」と峯口秀喜社長。「飛行機とバスが組むことで、そうした場所にスムーズにつなぐことができる」と語る。
イーグルバスの谷島賢社長は「外国人旅行者にとって交通機関を乗り継ぐのは大変。川越を『ハブ』にして、体験型観光で地方を活性化させたい」と意気込む。
今後は観光協会などとの連携を進め、和紙の里として知られる埼玉県小川町や県内の酒蔵巡りを組み合わせたバスツアーなども構想している。
エアージャパンのタイ便の機内では、川越・津南の映像を流し、物産も販売している。「なかでも川越氷川神社の御朱印帳は人気が高い」(同社広報)。今回のツアーで撮影した動画も、公開する予定だ。