狙われた紫電、紫電改… 姫路市で「川西航空機姫路製作所」の企画展

雨宮徹
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 太平洋戦争末期の1945年6月にあった「川西航空機姫路製作所」への爆撃を考える企画展が、兵庫県姫路市西延末の市平和資料館で開かれている。製作所で作られた戦闘機「紫電改」の部品など128点が展示されている。7月7日まで。

 川西航空機姫路製作所は、旧日本海軍の戦闘機「紫電」や「紫電改」の部品を作るため42年に操業を開始した。現在のJR播但線京口駅付近にあった。位置的には姫路城から東へ1キロ強の市街地になる。

 企画展の資料などによると、45年6月22日午前9時50分ごろ、米軍のB29爆撃機約60機が南方から飛来し、製作所は重要拠点として戦略爆撃の目標になった。周辺にあった別の工場も被害を受け、死者341人、1300戸が全焼・全壊したとされる。

 姫路市内は同年7月3日深夜~4日未明にも、より広範囲な無差別の焼夷(しょうい)弾による爆撃を受けており、「1回目の空襲」とも呼ばれる。

 企画展「狙われた川西航空機姫路製作所」では、初公開となる、紫電改の操縦席で何らかの装置につながっていた部品とみられる滑車3点や、「川」の字が刻まれた食器などが展示されている。

 ほかに米軍が作った姫路市の地図を拡大した展示物や、製作所で働いていた画家・内海敏夫さんが爆撃跡を描いたスケッチの複製も並ぶ。

 製作所の近くに住んでいたため空襲に巻き込まれて弟2人を亡くした有本隆さん(91)=姫路市在住=の初証言映像も流れている。

 約11分の映像は昨年11月に収録されたもので、神戸大空襲も経験している有本さんは、姫路での空襲を振り返り「とことん追い詰められたときは、生きるとか死ぬとか、そんなことは思わなかった。ただ死んだ弟のことをかわいそうに思う」と話している。

 開館時間は午前9時半~午後5時、月曜休館。企画展は無料。問い合わせは姫路市平和資料館(079・291・2525)へ。

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この記事を書いた人
雨宮徹
姫路支局
専門・関心分野
ハンセン病、被爆者、歴史、災害、地方政治