パワハラ疑惑に揺れた兵庫県知事選。終わってみれば、投票率が急伸し斎藤元彦知事が再選を果たした。
なぜ多くの県民が、圧倒的不利だった斎藤氏を支持したのか。自身も兵庫県民の政治学者、坂本治也さんは「選挙は有権者として見るのと、外から見るのとでは異なる」と語る。
――兵庫県知事選で斎藤氏の再選を予想していましたか。
「当初はまったく予想しておらず、びっくりしました。県議会の不信任決議を受けた段階では、知事選に出るとも思っていませんでした。あれだけメディアで不祥事として批判され、告発文書を書いた県職員も亡くなるなど、選挙で有利な要素がないように見えたためです。他の政治学者も同じような見方でした」
――坂本さん自身も兵庫県在住です。これまで県政をどう見ていましたか。
「私は大阪と神戸の間の阪神地域に住んでいます。平日は大阪で働き、週末も大阪に出かけます。兵庫県民ですが、県政の恩恵を受けている感覚はなく、県政に関心を払うこともありません。県内でも都市部以外はわかりませんが、多くの阪神間の住人は似た感覚だと思います。一方、旧自治省の官僚だった井戸敏三前県知事のもとで進んだ政策は旧態依然とした印象で、不満でした。斎藤氏の初当選時に彼に投票した県民は、閉塞(へいそく)した県政を変えてくれるという期待を抱いていたと思います」
――今回の投票率は前回比で14・55ポイント増でした。
「SNSや、政治団体『NHKから国民を守る党』党首の立花孝志氏が風を起こしたという指摘がありますが、私は違うと考えています。すでにあった有権者の関心を加速させた効果はあったかもしれませんが、少なくとも起点ではなく、勝敗にも決定的な影響は与えていません。その証拠に、立花氏が立候補した12月の大阪府泉大津市長選はほとんど話題にならず、立花氏も大差で落選しました」
――では何が知事選への関心を高めたのでしょう。
「影響が大きかったのは、む…
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