「留学生は採用しない」名前だけで拒否、日本人なのに…就活生の涙

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小川尭洋
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 《大変申し上げにくいのですが、弊社では留学生さんの採用はおこなっておりません。誠に申し訳ありませんでした》

 え? 留学生さんって? わたし、日本人なんだけど……。

 5月中旬の朝、専門学校生の女性(20)は、新卒採用向けの就活サイト上でメッセージを受信し、戸惑った。

 送り主は、選考にエントリーしたコンサル企業の人事担当者だった。

 そもそも国籍のことを伝えていなかったので、「カタカナで始まる自分の名前が原因なんだろうな」とすぐに気がついた。

 学生はナイジェリア人の父と日本人の母を持ち、国籍は日本だ。

 姓は父から受け継ぎ、ひらがなのファーストネームは母が「愛らしく」、カタカナのミドルネームは父が「幸せに生きてほしい」という思いを込めて名づけてくれた。

 両親の思いが詰まった名前はお気に入りだった。

 日本で生まれ育ち、ナイジェリアに行ったことはない。

 ルーツの一部はナイジェリアにあっても、アイデンティティーは日本だという自信があった。

 「この名前でなければ、言われなかったんだろうな」

 あふれる涙をぬぐいながら、返信を打ち始めた。

 《結論から申しますと、私は日本人です。(中略)名前のみで外国人だと判断されたこと、非常に残念に思っております》

 《見た目や名前で外国人であるか否かを判断するのはとても失礼なことです。今後二度となさらないようお願いいたします。今回は貴社へのエントリーは辞退させていただきます》

 そして、小さいころから「よそ者」扱いされてきた記憶がよみがえってきた。

ルーツの多様化が進むなか、就職などでの差別や偏見に苦しむ人がいます。後半では、厚生労働省の対応などを紹介します

 「なんで肌が黒いの?」「髪…

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この記事を書いた人
小川尭洋
デジタル企画報道部
専門・関心分野
人種差別、海外ルーツの人々、歴史認識、政治と教育
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    本田由紀
    (東京大学大学院教育学研究科教授)
    2024年6月10日8時25分 投稿
    【視点】

    採用差別の存在はサーベイ実験などで他国でも明らかになっているが、日本でも不合理な外国人フォビアや排外意識はきわめて強い。 採用時に、女性に対してのみ結婚・出産の予定や就労継続意向をたずねたり、思想信条に関する事柄をたずねたりすることも明らか

    …続きを読む
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    長島美紀
    (SDGsジャパン 理事)
    2024年6月10日11時34分 投稿
    【視点】

    名前や外見だけで国籍を推測し採用の最初の段階からはじく。あるいは「日本人ではない」と思い込み、その前提で声をかける。それは記事にあるように就職先やバイト、学校だけではなく、日常のあらゆる場所でみられます。 また、逆に「日本人」という、ナショ

    …続きを読む