子どもにスマホを持たせるべきなのか。持たせるなら何歳からが適切なのか、と悩む親は多い。この春、子どもが小学校3年生に進級し、放課後の学童や習い事に一人で通うようになった。何かあったときのために、と専用のスマホを買った。当初はいわゆるキッズ携帯にするはずだったが、量販店のキャンペーンにのせられた。
視力が落ちないか、使いすぎていないか、と悩みは尽きない。
一度、手に入れてしまったら、持たない世界には戻れないこの便利ツール。子どもを取り巻くリスクに行政や保護者はどう向き合うべきなのか。こうしたテーマについて、こども家庭庁で議論が続いている。「青少年インターネット環境の整備等に関する検討会」のメンバーである、京都大学の曽我部真裕教授(憲法)に話をうかがった。記事の後半で紹介したい。
まず、子どものインターネット利用について、こんなデータがある。青少年のインターネット利用環境実態調査(2024年こども家庭庁公表)によると、子どもたちのネットの利用時間は、2歳で1日平均約1時間50分。年齢とともに増加し、10歳で約3時間半、17歳は約6時間20分に上る。低年齢化と長時間化がトレンドだ。
ネットを使う機器として最も多いのはスマホ(74・3%)。このうち、10歳以上になると、親との併用より子ども専用の割合が高くなる。
ゲームや動画を含め、もはやネットは子どもたちの生活と、切っても切り離せない存在になっている。政府の対策は、いかに子どもを遠ざけるかではなく、「賢く使う」ことが前提だ。
しかし、子どもが脅されて自分の裸体を撮影して送信させられる犯罪被害、SNSによるいじめ、誹謗(ひぼう)中傷などが社会問題化している。
どんな対策があるのか。
政府の対策方針は、技術的な手段と、教育的手段の二つだ。技術的な手段の柱がフィルタリング機能。有害サイトにアクセスできないようにしたり、アプリを制限したりするものだ。
青少年インターネット環境整備法が改正され、2018年から、携帯電話事業者や代理店に、フィルタリングを有効に設定する義務が課されるようになった。こども家庭庁の資料によればフィルタリング加入率は現在、7割程度という。
ところが、実際に利用する立場からすると、フィルタリングは非常にわかりにくい。
そもそも契約時にサインをしたという程度の認識しかない。子どものスマホでLINEが使えず、初めてこれがフィルタリングかと意識したのが実情だ。カスタマイズすればLINEは使えるようになった。これらはアプリの使用制限となる。
これに対し、携帯電話事業者に課されているのは、インターネットで有害なサイトを閲覧できないようにするフィルタリングだ。
いずれにしても、設定がややこしい上に、解除という抜け道もあり、「これで一安心」とはなかなか思えない。
政府の対策は十分なのか。
京都大学の曽我部教授に話をうかがった。
曽我部教授が特に指摘したの…
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