第1回「お花畑」と言われても 活動家でなく起業家が描く平和の「さざ波」
「WHAT IS PEACE?」と書かれたピンク色の装飾があちこちに浮かぶ。東京・下北沢のカフェで今年4月、フリーマガジン「RIPPLES(リップルズ)」の創刊イベントがあった。
前半は「長崎LOVERSに聞く長崎の街歩きマップ」「長崎のこれ食べたい」などと観光ガイドブックのようだが、後半にはウクライナ戦争についてのZ世代1千人アンケートや、ある被爆した女性の半生といった記事が並ぶ。
「この大きな問いに向き合い続けることは時に精神的な負担になる」「公園のベンチで一休みするような気持ちで手にとっていただけると幸いです」。あとがきにはそうある。
筆者は2人の大学生。ともに9月に卒業し、その後も「平和」に関わり続けるつもりだという。そこに至る、それぞれの道のりがある。
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早稲田大の古賀野々華さん(23)は福岡県出身。子どもの頃から平和や原爆に関心が深かったわけではなかった。
たまたま高校時代の留学先が、長崎原爆で使われたプルトニウムを生産した米ワシントン州のハンフォード核施設に近いリッチランドだった。原爆は第2次世界大戦を終わらせたとして街の誇り。学校内の至る所や学生たちのユニホームにも校章のキノコ雲があしらわれていた。
当初は自分も学校の一員にな…
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