第1回17歳で結婚させられ、夫から性暴力 命を絶とうとした少女の決意

有料記事追いつめられる少女たち アフガニスタン政変3年

アフガニスタン西部=石原孝
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 暴力に耐えた体のアザは少しずつ薄くなってきた。だけど、命を絶とうとまでした心の傷は、まだ深く残っている。

 2年前、10歳ほど年の離れた男性と結婚することになった。まだ17歳だった。周囲に祝福されても、幸せは感じられなかった。

 相手は自分が9歳の時に、親が婚約者として決めた人。生活苦にあった両親は、110万円相当の「結納金」を夫側から受け取っていた。

 いつも上から見下すような態度をとる、と感じ、夫のことは好きになれなかった。ただ、お金を返すあてはなく、夫の家で暮らすしかなかった。姉も、夫の親戚と結婚させられていた。

 少女が生まれ育ったアフガニスタンでは、長く戦闘やテロ事件が続いてきた。2021年8月に始まったイスラム主義勢力タリバンの支配によって、中学生年代以上の女性は教育が受けられなくなり、就職も制限された。

 仕事はおろか、1人で遠出もできない。公園や遊園地も女性は入れなくなった。

 毎日、家の中で料理や洗濯、掃除をして過ごした。夫は無職に近かった。夜になると夫に求められたが、「気持ちの整理が……」と言って、別々の部屋で寝続けた。

【そもそも解説】タリバン支配3年 テロ被害者「命あるだけで幸運」

自由や権利を奪われてきたアフガニスタンの少女たち。 貧困や望まぬ結婚、性暴力にも苦しみ、自殺を図る人も増えています。 タリバンがこの国を支配してから8月で3年。 追いつめられる彼女たちの声を伝えます。

 「他に好きな男がいるんだろう」

 「お前の親はもうお金を受け取っているんだ」

 夫はそう怒鳴り、あごや腕を殴ってきた。赤黒くなった肌。実家に戻らせて、と親に何度も頼んだが、返ってきた言葉は、「どうしようもない。我慢して」だった。

 結婚生活が1年半近く続いた今春、夫とその親戚に薄暗い部屋に無理やり連れて行かれた。

 手足を縛られ、口や目を覆わ…

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この記事を書いた人
石原孝
ニューデリー支局長|南アジア担当特派員
専門・関心分野
アジアやアフリカの新興国・途上国の情勢