第3回軍事的観点より合意優先の「V字形滑走路」 日本側、はしご外され…
米政府内で当事者の米海兵隊の反対論に直面しながらも「政治的妥協」の末に決まった米軍普天間飛行場の辺野古移設。それでは「V字形滑走路」の現行案に合意した日本側の事情はどのようなものだったのか。
2005年夏、防衛庁(現・防衛省)の守屋武昌防衛次官(当時)は、米側交渉代表のリチャード・ローレス国防総省副次官(同)から手渡された一枚の図面に目を奪われた。その図面に描かれていたのは、滑走路の長さを従来の埋め立て案から縮小しつつ、辺野古の南方沖合の浅瀬を埋め立てる案(通称「名護ライト案」)の図面だった。
「私はまた『目の上のたんこぶ』か」
埋め立て案に後ろ向きだった守屋氏は、米側にはしごを外された感覚だった。
米側との交渉に関わった防衛庁幹部らは、名護ライト案は地元の建設業者らの意向を反映しているとみていた。米国の大手建設会社も関わり、自民党の大物議員や外務省も支持していたという。
ローレス氏のカウンターパートを務めていた防衛庁の山内千里防衛局次長(同)も、ローレス氏から名護ライト案の図面を事前に見せられた。そのとき、ローレス氏は少し困ったような表情を浮かべ「この通りにして欲しい」と山内氏に語りかけた。
■「防衛庁は一貫して海上埋め…