世界に挑む日本のアニメ×演劇 英国で大好評「千と千尋」「トトロ」

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増田愛子
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 6月末。ロンドン中心部にある約2300席の劇場、ロンドン・コロシアムは、舞台「Spirited Away(千と千尋の神隠し)」の観客でにぎわっていた。

 宮崎駿監督のアニメ映画を、ミュージカル「レ・ミゼラブル」を手がけたことで知られる英国の演出家ジョン・ケアードさんの翻案・演出で、東宝が舞台化。2022年の日本初演に続き主演する橋本環奈さん、上白石萌音さんはじめ俳優は日本語で演じる、いわば「引っ越し公演」だ。

 映画そのままのカオナシや釜爺(かまじい)の姿に笑顔の観客。3カ所に英語字幕はあるが、舞台上に集中している人が多い印象だ。ロンドン市在住のメルセデス・エカネムさん(28)はスタジオジブリ作品のファン。高揚した様子で「アニメの舞台化はうまくいかないと思っていたが、とても革新的で面白かった」。

 現地紙の劇評も満点の五つ星や四つ星を付けるなど好意的。東宝によると、4月末の公演開始以来チケット販売も伸び、現在は今月24日の千秋楽までほぼ完売という。ただ、池田篤郎常務は「最初から海外公演が念頭にあったわけではない」。21年に日本での舞台化を発表した際、各国から自国での上演を望む声が寄せられ、海外の関心の高さを認識した。希望者を翌年の日本初演に招いたという。

世界中に多くのファンが広がる日本のマンガ・アニメを舞台化し、海外に展開する演劇界の現場を訪ねた。

 その初演を、英国公演を東宝と共同製作する現地のPWプロダクションズのプロデューサー、イアン・ギリーさんも、ケアードさんの勧めで見た。「ジブリのファン、英国の演劇の観客、あらゆる人が楽しめる質の高い作品」と確信し、東宝にロンドン公演を提案。「『100%日本』の作品であることで観客の経験がより豊かになる」と、日本語での上演にも迷いはなかった。

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この記事を書いた人
増田愛子
文化部|演劇担当
専門・関心分野
歌舞伎、文楽、海外の演劇、公共劇場