伝統の焼き畑、県有林で復活 「文化」か「産業」か 認識に隔たりも
焼き畑の長い歴史がある熊本県五木村。復活をめざす林業家による本格的な挑戦は3年目を迎えた。今年は県有林を提供してもらった。全国的にも珍しいといい、安定的に焼き畑による耕作を続けていく第一歩となった。だが、県は「産業振興ではなく文化継承への協力」との考えで、両者の認識には隔たりもある。
川辺川が流れるふもとの集落から、くねくねと曲がる急な坂道を車で約40分かけて上る。五木村と水上村の境に近い標高1千メートルの山の急斜面にある約1700平方メートル(0.17ヘクタール)が、焼き畑となる予定の県有林だ。
8月8日、敷き詰められた木の切れ端や枝に、総合学習で焼き畑を学ぶ地元の中学生たちが火をつけていった。指導するのは五木村で林業会社を経営する園田久さん(62)だ。
猛暑と晴天続きで乾燥しきった木々は勢いよく燃え、火が斜面をかけあがる。この日は焼いた斜面にソバの種をまき、後日、赤大根の種をまいた。
契機は、五木村の焼き畑を研究した文化人類学者、佐々木高明氏(1929~2013)の功績を振り返る4年前のセミナーだ。
毎年作物を換えながら農業を続け、5年ほどで森にかえす。数十年して地力が回復したら再び畑を焼く。環境破壊のイメージがあったが、森林保全につながり、焼き畑をブランドにすれば地域の産業振興にもなると考えるようになった。
赤大根の漬物 「道の駅」で好評
実際に作ってみると、灰に残…
- 【視点】
焼き畑が県有林で復活するとは興味深い一方,「文化」か「産業」かというタイトルにも目が行く。記事の最後で民博の池谷和信名誉教授が「伝統継承と産業振興は別々ではない」と述べるように,焼き畑の取り組みから生み出される生産物が差別化されるブランドも
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