原作通りのキャラクターでファンに人気 「2.5次元」演劇、世界へ
「この公演は、最大のプロモーションだと考えています。『日本が生んだ2・5次元ミュージカルはアリだね』と思ってもらえれば、次につながる大きな実績になる」――。今年10月に舞台「『進撃の巨人』―the Musical―」のニューヨーク公演を控えた、演劇制作会社「ネルケプランニング」(東京)の野上祥子社長はそう意気込む。
「『進撃の巨人』―the Musical―」、ニューヨークへ
強力な巨人と人類の戦いを描く諫山創さんの原作マンガを、映像や、ワイヤを使ったアクションも織り交ぜて表現した作品は、2023年に日本で初演。野上さんと面識があったニューヨークの演劇プロデューサーが高く評価したこともあり、米国公演を決めた。初演時とほぼ同じ顔ぶれの俳優たちが、日本語で演じる。
原作は180カ国以上で出版され、アニメ版も人気。約2200席の劇場での3日間4公演のチケットの売れ行きは好調という。
マンガやアニメなど、2次元の作品の舞台化は、以前から行われていた。近年、特に原作の世界観やキャラクターの容姿・個性の再現性の高さなどを重視するミュージカルやセリフ劇が誕生。「2・5次元ミュージカル」と呼ばれる一つのジャンルを形づくるまでになった。原作の人気と豊富な作品数を力に、ここ10年ほどで市場でも急速に存在感が増している。
公演だけでなく、舞台映像の配信などで海外にも市場を広げようとしている「2・5次元ミュージカル」の作り手たちを取材しました。
ジャンルを開拓、牽引(けんいん)してきたとされるのが、マンガ原作のミュージカル「テニスの王子様」のシリーズだ。03年にネルケプランニングが第1作を上演した。
以来、同社は様々な作品を舞台化。08年には初の海外公演を台北とソウルで行った。日本のマンガやアニメ、ゲームのファンは世界中にいるため「2・5次元」の作品も「海外に通用するのではないかと、早い段階から思っていた」と野上社長は振り返る。
14年には中国に子会社を設…
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