捕獲後の害獣、ジビエ活用はまだ約1割 国は交付金で活用あと押し
三宅梨紗子 村上潤治
野生鳥獣の被害が、全国的に深刻化している。国は駆除とともに、捕獲後の害獣などの「ジビエ」としての活用を後押ししたい考えだ。
農林水産省や環境省によると、農作物への被害は年間156億円(2022年度)と鳥獣被害によって農業を諦める人や、耕作放棄地の増加につながっている。
過疎化や狩猟者の減少、温暖化などでニホンジカの生息域は、18年度までの40年間で約3倍、イノシシは約2倍に広がった。
両省は13年度、23年度までの10年間でニホンジカやイノシシを半減させる目標を立てた。
課題の一つが、捕獲後の利用法だ。捕獲されたシカやイノシシのうち、ジビエとして食肉に加工され、流通する割合は約1割にとどまる。
農水省は、市町村の「被害防止計画」に基づいて、捕獲したシカやイノシシの有効活用などをする取り組みを支援する「鳥獣被害防止総合対策交付金」を準備。食肉処理加工施設の整備や保冷車の導入、ジビエ商品の開発などに使われている。今年度は99億円が計上された。
農水省の担当者は「まずは市町村で施設整備後の運営も含めてよく話し合ってもらいたい」と話す。