剣幸「男役作る楽しさ」、露の都「人生は努力やな」芸歴50年の秘訣
露の都と剣幸(つるぎ・みゆき)。かたや女性の落語家の草分け、かたや元宝塚歌劇団トップスター。その共通点は、ともにデビューから50年です。磨いてきた芸について語り合ってもらいました。
落語の男性演じるなら 師匠に勧められた宝塚
都 「男性を演じるなら宝塚やな」と、師匠に見るように勧められたのは30歳を過ぎたころでした。師匠の宝塚好きな娘さんがビデオを貸して下さって。それが剣さん主演の「川霧の橋」(1990年)だったんです。
剣 光栄です。私の退団公演(人情味あふれる時代物で大工の役)なんです。
都 女性がこういう風に男性を演じられるんだとびっくり。すごく自然で、すてきで。特にラストは忘れられません。橋の上で、こだま愛さん(相手役の町娘)に蛍をつかんであげはるじゃないですか。涙が止まらなかったです。ビデオを20回ぐらい見ました。
剣 ありがとうございます。
都 お客さんから「都さんの落語の男の人は男前やね」って言われるんですが、ちょっと(宝塚が)入っているかも。剣さんはどうやって男役を作らはったんですか。こだまさんのほっぺたにかける手の指先まで情や思いを感じました。
剣 私は宝塚の男役としては小さいんです。背の高い人は舞台に立っているだけで映えるし、軍服でも王朝物の着物でも似合う。でも、私は違う方法を考えないといけなかった。相手役をどう包むか、男役の懐の広さをどう演じていくか。女性を守ることを念頭において、その人物のバックボーン、この人がどう生きてきたかが感じられるような役者になれたらうれしいなと思いました。それでお芝居が好きになったんです。
都 すごいですね。女性なのに男性の気持ちをどうやって演じられるんだろうと思っていました。
「女性が共感する男役を」「落語で女性のセリフを変えた」
剣 本当の男性がどう思って…