「500円なら」で失った113万円 当事者が語るギャンブル依存症

小田健司
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 「500円だけなら」という軽い気持ちで再開した競馬で113万円を失った――。ギャンブル依存症の問題について考えるセミナーが15日、神戸市中央区の神戸国際会議場であり、当事者が体験を語った。

 NPO法人全国ギャンブル依存症家族の会などが主催し、全国から約700人が参加した。

 公益社団法人ギャンブル依存症問題を考える会で治療に取り組む中江雅史さんは、当事者として経験を話した。

 中江さんが競馬にはまったのは出身県から離れた大学に入学してから。依存は一気に進み、1年ほどたつと借金をしてまで金をつぎ込んだという。

 「負けはギャンブルで取り返すしかないと考えるようになり、親にもうそばかりついた」

 社会人になって間もなく、山梨県の施設に2年間入所した。しかし、退所から1年たつと軽い気持ちでまた始めてしまった。「500円だけならいいだろう」。その日のうちに全財産の113万円をすってしまった。

 「ギャンブル依存を甘く見ていた」

 中江さんは今、支援者の助けをもらいながら再び依存症と向き合っている。しかし、講演でこう打ち明けた。

 「やめ続ける自信もまだない」

 兵庫県内でメンタルクリニックを運営する田中禎医師は、どんな心構えで問題に向き合えばよいか語った。当事者や家族、支援者ら全員にとって必要なことは「健康でいること」と指摘。食事や睡眠、運動の大切さを訴えた。

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この記事を書いた人
小田健司
神戸総局|事件・調査報道担当
専門・関心分野
権力監視、原発、公共事業、ボブ・ディラン