「自公国」の枠組みが本格的に動き出した。衆院選で与党が過半数を割り、自民党は予算や税制の議論にも国民民主党を巻き込み、多数派の状況をつくろうと懸命だ。一方、国民民主は来夏の参院選もにらんで与党との距離は置きつつ、政策実現の「果実」を得ることにこだわっている。
31日午前、自民の森山裕幹事長は国会内で国民民主の榛葉賀津也幹事長らと会談。終了後、記者団に「補正予算、来年度予算、税制も含めてそれぞれの分野で協議をしていくことで合意できた」と語った。今後は公明も加えた3党で議論していくことも強調した。
森山氏は、協議の場を「常設」することも提案した。榛葉氏が「個別政策ごとにやりましょう」とやんわり断ったため譲ったが、国民民主を与党側に引き込もうとする執念を見せた。党本部に戻ると、直ちに党の政策責任者である小野寺五典政調会長を呼び、今後の対応を指示した。
石破政権は、経済対策を柱とする補正予算の編成を本格化させる。さらに、年末の閣議決定が恒例である来年度の当初予算案や税制改正大綱の議論が始まるタイミングでもある。
自民は、こうした「与党としての政治力」が最大まで発揮される予算や税でも、国民民主との協議の場を設けることを約束した。中長期的な連携を視野に入れたものだ。
とりわけ税制は「インナー」と呼ばれる自民党税制調査会幹部に権力が集中する聖域だった。インナーの一人でもあった森山氏が国民民主の関与を認めたことは、それほど自民が厳しい立場にあることを意味している。政権幹部の一人は「(国民民主の政策は)なんでものむ、という状態だ。予算成立までは、それで乗り切るしかない」と漏らす。
近づきすぎず、離れすぎず
衆院選で自民、公明両党が獲…