「欧州最大の虐殺」から29年 国連決議に波紋 民族の和解は可能か

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根本晃
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 「我々はジェノサイド(集団殺害)をする民族ではない」

 6月上旬。セルビアの首都ベオグラードの空港から市街地へ車を走らせると、ぎょっとするような文言が書かれた横断幕が、道路橋に掲げられていた。

 現地に住む助手が言った。「セルビアでは今、この問題をめぐって大騒ぎになっている」

 事の発端は、5月の国連総会で採択された、ある決議にあった。

8千人以上犠牲 スレブレニツァの虐殺とは

 約10万人もの犠牲者を生ん…

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    越智萌
    (立命館大学国際関係研究科准教授)
    2024年10月10日13時49分 投稿
    【視点】

    ジェノサイドという言葉は、その意味内容から必然的に、ある集団が別の集団を攻撃した、という分断構造を前提とします。ナチスドイツのホロコーストを適切に表現しようとして生み出された造語ですが、この言葉を使うことによるレッテル貼りと集団間の分断の固

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