「救世主トランプ」はウソだらけだった MAGAを抜けた男性の告白

有料記事混迷を歩く アメリカ大統領選2024

米フォートローダーデール=遠田寛生
[PR]

連載 混迷を歩く アメリカ大統領選2024:偽情報・誤情報編③

 情報があふれている時代だ。事実の見極めは難しい。

 信じている人の言葉となれば、なおさらだ。誤った内容がまぎれこんでも、確認する習慣や方法がなければ気づきにくい。

 私がそうしみじみと感じたのは、リッチ・ロジスさん(47)と知り合ったからだった。

 2016年から5年強、トランプ前大統領(78)の熱心な支持者だったという。MAGA(Make America Great Again〈米国を再び偉大にする〉)運動を広める活動を手伝い、自分たちが「正義」だと信じ込んでいたと聞いた。

 ロジスさんと出会ったのは6月末、無党派による政治対話集会が行われていた米ウィスコンシン州ケノーシャだった。

 少人数による討論会で「私はMAGA専門家だった」と自己紹介。MAGAの居心地が良すぎて、1年も自問自答する毎日だったと語ったのが気になった。

 7月下旬、フロリダ州フォートローダーデール近郊にあるロジスさんの自宅を訪ねた。

【連載初回はこちら】

ネット上で真偽不明の情報が拡散され、それが現実世界に大きな影響を及ぼす。「フェイク大国」となった米国の大統領選で、何が起きているのか。連載の3回目は「MAGA」から抜け出した男性の経験を紹介します。記事の後半にはインタビュー動画もあります。

トランプ氏に傾倒、右派メデ…

この記事は有料記事です。残り1755文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

この記事を書いた人
遠田寛生
ニューヨーク支局
専門・関心分野
大リーグなどスポーツ全般、アンチドーピング
  • commentatorHeader
    辻田真佐憲
    (評論家・近現代史研究者)
    2024年10月23日16時2分 投稿
    【視点】

    「トランプ支持者に対してファクトを突きつけたり、陰謀論者と決めつけたりしても、彼らを追い詰めるだけだ」という指摘は、まさにその通りでしょう。日本の近現代史における歴史修正主義に対抗するために、「ファクトをぶつける」ことが一時期流行しましたが

    …続きを読む
  • commentatorHeader
    鳥海不二夫
    (東京大学大学院教授=計算社会科学)
    2024年10月23日18時55分 投稿
    【視点】

    MAGAから抜け出せなかった理由として「居心地の良さ」とありますが、これは非常に重要なポイントではないでしょうか。もちろん、個々の信条や信念も影響していますが、所属しているコミュニティを離れることで被るデメリットが大きい場合、人はたとえ疑わ

    …続きを読む
トランプ再来

トランプ再来

米大統領選で共和党のドナルド・トランプ前大統領が返り咲きました。国際社会はどこに向かっていくのか。最新ニュースはこちらから[もっと見る]