「脅迫は無意味です」遺伝研の見事な対応 ハッカーはミスをしたのか

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村山知博 竹野内崇宏
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 日本をねらう国際ハッカー集団が、なぜか国立研究所に「無意味な脅迫」をした。「人質」がないのに金を脅し取ろうとした謎の行為。専門家は「ハッカー集団はウソをつくこともある、と考えて対策して欲しい」と呼びかける。

 国立遺伝学研究所が22日、サイバー脅迫を受けたことをウェブサイトで公表した。あわせて、事件に対するこんな見解を示した。

 「もともと誰でも無料でダウンロードでき、脅迫は無意味です」

 所管する情報・システム研究機構によると、国際ハッカー集団が遺伝研を名指しして脅迫したのは8日深夜のことだ。X(旧ツイッター)で、各国の研究者が登録したDNAやRNAの塩基配列のデータベース「DDBJ」から盗んだとするデータの5%を公表。「1万ドル(約150万円)を支払わなければ残りの95%も公開する」と脅した。

理化学研究所も標的に…… でも「流出なし」

 こうした脅迫は、暗号化した重要なデータを人質に、身代金を要求する「ランサムウェア(身代金ウイルス)」や、暗号化はしない新手の「ノーウェアランサム」と呼ばれる攻撃の一端のように見える。

 ところが、DDBJのデータ…

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    佐倉統
    (東京大学大学院教授=科学技術社会論)
    2024年10月27日13時30分 投稿
    【視点】

    なんでこんな意味の分からない、もっと言えば間抜けなことをするハッカーがいるんだろうと不思議だったが、ミスではなく単に混乱を招くことが目的のブラフだという専門家の解説に納得した。なるほど、美術館の絵にペンキをぶっかけたりする活動家のような単な

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