履歴書の顔写真「露骨」に影響 人事担当のバイアス、実験で明らかに

有料記事

聞き手=編集委員・岡崎明子
[PR]

 社会学が専門で、「見た目問題」を研究する中京大講師の矢吹康夫さんは、国の科学研究費補助金を得て「履歴書の顔写真が採用選考の判断に及ぼす影響」について調べた。その結果は「思っていた以上に露骨」だったという。「履歴書に写真は必要ない」と主張する矢吹さんに、その理由を聞いた。

 ――研究のきっかけを教えてください。

 2020年に署名サイトで「履歴書から写真欄もなくそう」と運動しました。その半年ほど前に「履歴書から性別欄をなくそう」という運動があったのがきっかけです。厚生労働省は21年、性別欄から男女の選択肢をなくした履歴書の様式例をつくったのですが、顔写真についてはいまだ変わっていません。

 ――どうやって調べたのでしょう。

 ウェブ調査会社に登録している企業の人事担当者818人に、架空の履歴書を1人につき8枚見せ、書類選考を通る可能性を10段階で評価してもらいました。

 履歴書に貼った顔写真は、立…

この記事は有料記事です。残り2187文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

この記事を書いた人
岡崎明子
編集委員|セグメント編集長
専門・関心分野
医療、生きづらさ、ジェンダー、働き方
  • commentatorHeader
    上西充子
    (法政大学教授)
    2024年11月11日9時47分 投稿
    【視点】

     現在放送中のドラマ『無能の鷹』では、完璧な見た目と振る舞いによって採用担当者の目を惹き、ITコンサルティング会社の営業部に配属された新入社員・鷹野ツメ子(菜々緒)が主人公です。入社後に判明したのは、「ダブルクリック」の意味も通じないほどに

    …続きを読む
  • commentatorHeader
    綿野恵太
    (文筆家)
    2024年11月11日10時58分 投稿
    【視点】

     ここまで見た目の影響が大きいとしたら、たとえば選挙とかはどうなるんでしょう。ほとんどの選挙ポスターには候補者の顔が写ってますし。ぼくたちは政治を任せられる有能な人を選んでるつもりが、実は有能そうな容貌の持ち主を選んでいるだけなのかもしれま

    …続きを読む