「母性愛神話の罠」から24年 母親たちの悲鳴、少子化という帰結

有料記事少子化を考える

聞き手・武田耕太
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 発達心理学を専門とする恵泉女学園大学長の大日向雅美さんは、母親の役割に過度の期待を寄せる「社会の母性観のあり方」を半世紀あまりにわたって研究し、著書などを通じて疑問を投げかけてきた。いま、深刻化する日本の少子化をどう見るのか。

 ――母性愛神話にとらわれる社会に警告を発した著書「母性愛神話の罠(わな)」が出版されたのは、24年前の2000年のことでした。

 1970年代初めに駅などのコインロッカーに新生児が遺棄された「コインロッカーベビー事件」をきっかけに、研究を始めました。

 見えてきたのは、母性に対する神話とも言える「幻想」がいかに女性たちを苦しめ、子育てを困難にしているのか、ということでした。

 女性は生来的に育児の適性を持っている。だから育児は母親が担うべきで、子どものことはすべて母親の責任――。事件に対し、「母性喪失の時代」「鬼のような母」と一斉に母親を責め立てるのが当時の風潮でした。

 そんな空気のなかで、女性たちは「子育てがつらい」「子どもをかわいく思えない」などと口に出せず、孤独な子育てを強いられていました。

 ――なぜ、母性愛神話の「幻想」は広まったのでしょうか。

 母性愛神話は日本社会では政策的に、意図的に使われてきた、と見ています。

 戦後の高度経済成長期は重工…

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    本田由紀
    (東京大学大学院教育学研究科教授)
    2024年11月8日12時0分 投稿
    【視点】

    この記事で大日向さんが述べているように、男は働いて稼ぐ経済マシン、女は子育てなどを全部押し付けられる、という1960~80年代の社会のあり方は、もはやたちゆかなくなっている。 性別を問わずワークとライフが両立できるようなあり方への転換が求め

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