銭湯で知った「外国人の義理人情」 粋な計らい、言葉の壁を越えて

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若松真平
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 カシの木でつくられた杖を操り、相手の太刀の動きを封じる武道「杖道(じょうどう)」。

 東京都府中市にある道場「夢想館」の館長を務めているのが、横尾正和さん(73)だ。

 18歳から70歳まで公務員として52年間勤めた。

 45歳の時に杖道と出会い、週6日稽古に通って腕を磨き、57歳の時に道場を開く。

 退職金をあてにしてお金を借り、新たに建てる自宅の地下に道場を設けた。

 入居前、妻の美知子さん(75)と最寄りの多磨霊園駅に降り立った時、こう笑い合ったそうだ。

 「これで僕たち、本当に多磨0円(れいえん)だね」

 道場開設から15年が経ち、弟子は20人に。

 道場としてだけでなく、詩吟や筆ペン習字、笑いヨガなどのサロンとしても活用されている。

全裸でびしょぬれの外国人が

 横尾さんは週1日だけ、何も予定を入れない日を作るようにしている。

 今年8月、その1日を使って東京都多摩市のスーパー銭湯へ向かった。

 お湯につかって、食事もして、のんびりと過ごすために。

 食事を済ませ、入浴前に脱衣所で歯を磨いていた時のことだ。

 背中をトントンとたたかれて振り向くと、全裸でびしょぬれの男性が立っていた。

 東南アジア系の顔立ちで、年…

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若松真平
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