新型「デトネーションエンジン」を宇宙で実証 液体燃料では世界初
佐々木凌
宇宙航空研究開発機構(JAXA)の観測ロケットが14日、鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられ、衝撃波を利用した「デトネーションエンジン」による宇宙での飛行に成功した。液体燃料を用いた実証は世界初という。
JAXAによると、ロケットは14日午前11時30分に打ち上げられ、宇宙空間で約7秒間、デトネーションエンジンを使って飛行した。動作は正常で、ほぼ想定通りの推力を得られたとみられるという。詳細は今後解析する。
デトネーションエンジンは、音速を超える衝撃波によって燃料を圧縮させ、急激に化学反応させる仕組みだ。従来型よりも構造が単純で燃料効率が高いため、エンジンの小型化につながると期待されている。
2021年7月には気体燃料を使った飛行実証に世界で初めて成功しており、今回はそれに続く快挙となった。
打ち上げ実験のエンジン班チーフを務める名古屋大の笠原次郎教授(デトネーション推進工学)は14日の記者会見で「打ち上げ前は緊張で手が震えたが、ほっとしている。実用化をめざして、一歩一歩着実に開発を進めていきたい」と話した。