「103万円の壁」見直しに懸念相次ぐ 横浜市は1200億円減収

良永うめか
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 国民民主党が実現を求める「103万円の壁」の引き上げをめぐって、神奈川県内の自治体から懸念が相次いでいる。横浜市の山中竹春市長は20日の記者会見で、引き上げが実施されると市の税収減は約1200億円に上るとの試算を明らかにした。市税収入の約13%にあたる規模だという。

 国民民主は所得税がかかる年収の最低ラインを現行の103万円から178万円に引き上げるよう求め、自民、公明両党との議論が本格化している。政府の試算では、国民民主の主張通り引き上げた場合、税収減は国と地方で7兆~8兆円となり、うち地方税分は4兆円程度となる。

 山中市長はこの日の記者会見で、引き上げについて「労働力の確保や国民所得の増加により経済の活性化にも寄与すると考える」と理解を示した一方、「地方財政への影響は甚大。国には税制、社会保障などを含めて一体的に見直すとともに、代替財源の確保について総合的に議論してほしい」と注文をつけた。

 約480億円の減収になる川崎市、約200億円の相模原市も事情は同じだ。

 川崎市の福田紀彦市長は19日の記者会見で「市民の身近なサービスに直結しかねない」、相模原市の本村賢太郎市長も15日の記者会見で「様々な市民サービスが提供できなくなる可能性があり、街づくりも費用が出せなくなってくる」などと訴えている。

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