選択的夫婦別姓の導入に前向きな勢力が衆院選で議席を伸ばしたことで、制度の実現に関心が高まっている。これまでは野党が出した法案は国会で審議されず、放置されてきた。しかし導入に賛成の立憲民主党が衆院法務委員長のポストを獲得し、審議入りする可能性が出てきた。来年の通常国会での各党の対応が焦点となりそうだ。
「姓を変えなければならないことに、つらくて悲しい思いを持っておられる方々が大勢いることは決して忘れてはならない。通称が使えるようになっても事実婚は続くのではないか」。姓を変えるのは多くが女性であることにも言及し、問題意識をにじませた。また、「いつまでも引きずっていい話だとは思っていない」として、結論を急ぐ必要性も示した。
ただ、9月の総裁選に比べ、明らかに首相の姿勢はトーンダウンしている。選択的夫婦別姓をめぐっては菅義偉元首相、岸田文雄前首相も、首相に就任するまでは導入に前向きだったが、就任後に後退。自民党内の反対派に配慮するためだ。
しかし、10月の衆院選で与党が過半数割れとなったことを受け、自民を取り巻く環境は大きく変わった。衆院では導入に慎重な党の議席が過半数を割り込み、法案が審議入りすれば衆院を通過する可能性が出てきている。
民法改正案を審議する衆院法…
- 【視点】
最もわかりやく「投票で政策が変わった」と有権者が理解できる課題である。経済界にも省庁にも反対はなく、一部保守派を除けば政党間の調整も必要ない。 また世論調査における民意の平均と、国会議員(とくに政権与党)の意識調査のずれが、もっとも目立っ
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