卵の殻の膜で新たな燃料電池を 高校生3人が観察+試行錯誤で開発
高校生・高専生が自由研究の成果を競うコンテスト「JSEC(ジェイセック)2024(第22回高校生・高専生科学技術チャレンジ)」の最終審査会が24年12月上旬、日本科学未来館(東京)で開かれた。全国173校705人から過去最多となる404研究の応募があり、高く評価された35研究について最終審査会で成果が発表された。上位入賞した12研究は、25年5月に米国・オハイオ州コロンバスで開かれる世界大会「リジェネロン国際学生科学技術フェア(ISEF=アイセフ)」に日本代表として派遣される。
【デンカ賞】米子工業高専2年 平尾瑞姫さん、井上真緒さん、川田愛さん
卵の殻の内側にある薄皮「卵殻膜」を使い、これまでより高温で動作する燃料電池を開発した。
燃料電池は、水素などの燃料と酸素を反応させて電気を発生させる。
固体高分子型の燃料電池は、負極(燃料極)で燃料を水素イオンと電子に分け、正極(空気極)で水を生成することで、電子の流れを生んで発電する。
原理的には高温になるほど化学反応が促進されて発電効率がよくなるが、100度以上で安定的に動作させることは難しいとされている。負極の燃料が正極側に移動するのを防ぐ「フッ素系」の電解質膜が、高温で溶けてしまうことが一因だ。
反応を促進させる触媒として主に白金を使っているため、高コストも課題となる。
米子高専「B&C研究同好会」の3人は、耐熱性の高い「卵殻膜」を電解質膜として使えば、150度以上でも動作できると考えた。
重ねた観察「え! これが原因?」
燃料にはメタノールではなく、沸点の高いグリセリンを使うなどし、耐熱性の高い素材で発電装置を開発した。
発電にはこぎつけた。だが1…
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