所有者不明土地・建物、新制度の利用1400件 専門家「想像以上」

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山田史比古
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 所有者が判明しない、または所在がわからない「所有者不明」の土地や建物に関し、地方裁判所が所有者ではない専門家らに適切な管理を命じる新制度について、2023年4月の導入から1年半で、地裁への申し立てが全国で約1400件にのぼることがわかった。朝日新聞の取材を受け、最高裁が初めてデータをまとめ、明らかにした。

 この制度は「所有者不明土地管理制度」。相続時に登記の名義変更が適切にされなかったことなどを理由とする大量の「所有者不明土地」の存在が問題化したことを受け、そうした土地を適切に管理し、利活用にもつなげるため、民法を改正して導入された。同時に「所有者不明建物管理制度」も創設されている。

 最高裁によると、導入から1年半で、全国の地裁への申立件数は、土地1049件▽建物164件▽土地と建物186件。土地とそこにある建物とセットでの申し立ても可能だ。申し立てを受け、地裁が必要と判断すれば、主に弁護士や司法書士らを「管理人」に選任し、管理を命じる。最高裁は管理命令に至った件数は示しておらず、必要性の判断に時間を要するケースもあるが、多くは命令に至っているとみられる。

 登記簿などの公的情報で所有者が特定できない場合や、所在が判明しない場合、その土地が放置されて近隣に悪影響を及ぼすほどの状態でも、適切な管理を求める相手が特定できない。土地の購入を希望する事業者がいても、交渉の相手が不明では利活用も難しい。

 従来は、所有者はわかっていても所在が不明な場合を想定して「不在者財産管理制度」が用意されていた。家庭裁判所が選任した管理人が、所有者にかわって不動産を管理し、家裁の許可を得れば売却もできる。ただ、その不在者の財産すべてをまず調べたうえで管理する必要があり、財産の量や状況によっては調査だけでも時間がかかり、管理の手間が膨大なケースもあった。また、家裁に申し立てができるのは、検察官のほか、相続人にあたる人や債権者などに限られていた。

 このため、新たな「所有者不明」の制度では、管理対象の財産を、その土地や建物に限定。効率的に管理でき、地裁の許可を得て売却する場合も期間が短縮できると想定されている。申し立ては市町村長や、被害や悪影響を受けている隣接地の所有者のほか、土地の購入希望者も可能とされる。

 2019年の国土交通省の調…

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この記事を書いた人
山田史比古
くらし報道部|社会保障・福祉担当
専門・関心分野
社会保障・福祉、住まい、身寄り問題、相続