第3回戦後の一家支えた「ばあちゃん」のお好み焼き 引き揚げの記憶を力に

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 店の売りはもちもちの皮と、じっくり蒸して甘みを引き出したキャベツ。広島市中区のお好み焼き店「へんくつや」で老舗の味を守るのが店長の沖中幸夫さん(57)だ。

 そんな味を求めて県内外から常連客が通う。なぜか阪神タイガースの選手が多く、大投手だった故・村山実さんも足繁く訪れた。「人の縁を大切にのれんをつないできた。ばあちゃんのころから何も変わっていません」

 ばあちゃんとは、2015年に101歳で亡くなった川原静子さんのことだ。沖中さんの妻の祖母にあたる。1947年創業の「へんくつや」の屋台を知人から引き継ぎ、当初は一人で店を回した。

 1914年に生まれ、瀬戸内海に浮かぶ大崎上島で養子として育てられた。広島市内の女学校を卒業し、戦中は家族と満州で暮らしたが、45年8月の終戦を境に生活は一変した。「すぐに帰らないと、国に戻れなくなる」。現地の住民に助言され、5歳、3歳、0歳の3児を連れ、着の身着のままで日本を目指した。

 列車で乗り合わせた子どもら…

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この記事を書いた人
魚住あかり
広島総局
専門・関心分野
平和、教育
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