性被害、摂食障害と生涯闘った漫画家 遺品から足跡たどった姉の思い

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中野晃
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 神戸市東灘区六甲山を仰ぎ見るマンションの一室に毎週火曜、西本千恵子さん(72)=兵庫県尼崎市=は足を運ぶ。妹で漫画家の松田妙子(たえこ)さんが1人で暮らした部屋。昨年4月12日、警察からの連絡で駆けつけると、リビングで倒れた妙子さんが冷たくなっていた部屋でもある。死因は栄養失調。66歳だった。

 それまで数年間、火曜日ごとに訪ねては談笑した。

 「明日、チエ来る日」。遺品の日記にそんな記述があった。姉に話そうと思うことも列挙していた。

 「あの子に、ちゃんとこたえられたんかなあ」

 妙子さんは、少女の頃から晩年まで、半世紀にわたって摂食障害に苦しんだ。

 中学時代に食べる量が極端に減り、高校生になると今度は冷蔵庫の中のものを片っ端から口にした。拒食と過食を繰り返し、家に引きこもりがちになった。

 当時は摂食障害という言葉が社会に広まっておらず、内科医の診断では「異常はない」と言われた。家族も責めた。「病気だとは知らなかったので、周囲は怠けているとみていました」

 晩年まで食べ物を口に入れてかむと、すぐに出した。遺品には、食べ物のイラストやレシピをびっしり記したメモがあった。

「女らしい体になるのが嫌だった」

 妙子さんは8歳の時、見知ら…

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