傑作は東京に来てしまっているポンピドゥーでクレー展、そしてジュードポムで出会ったプラハの詩人。ありがとう、ポンピ、ポム、パリ。
あれ、もうパリ最終日になっちゃった。明日、Montbardに発ちます。
今回パリ10日間。1人で、なんの予定もなくパリ10日。すでに15回ぐらい(もっと?)はパリに来てるので、もう行くとこなんかない気がすると思うんだけど、それでも、10日いてもまだまだ行きたいところがあったのに、、、となるのが、この街のすごいところだなあと思います。
東京もそうなんだろうなー。いっぱい行くところあるもん。
住んでても、まだまだ知らないところがいっぱい。
パリなんて東京の山手線の中ぐらいの大きさなんだから、東京なんて莫大に広い気がする。
ほでも、来るたびになんかしら素敵なものに出会える。
東京にいるだけじゃ知らなかったもの、出会えなかったものに遭遇できる確立が高くて(というより、必ず遭遇する!>笑)、やっぱりまた来たいなあって思ってしまうのでした。
なんか5日目あたりからやっと、からだとこころが休み出し、場に慣れて解放されて来た気がして
(いつもだいたい、このくらいはかかる気がする)
毎日ブログなんて自分への約束はどこかに行ってしまった。
ほでも、すでに昨日何をしたのかも忘れ出しているので、とりあえず今回であったよいもの。
1、ポンピドゥーでのクレー展
ポンピの傑作は東京に行っちゃってる>笑
東京では、敢えて行く必要もないのでは? と思っていたポンピドゥー傑作展、展示方法と作品のピックアップが独特で話題と聞いたので、それはおもろいかも、と行ってみたのだった@渡仏前。
賛否両論あるだろうけど、私はダメだった。
なんつか。
絵のお勉強に来てるわけじゃないんですけど、という展示方法で、ひどく疲れた。
一年ごとに一作品、ひとつの作品を見る前に、その作品の説明と作家の写真と説明が、絵とさほど変わらない大きさで並べて展示されている。
途中から、壁が階段式になった。つまり、直角に凹んだ壁の左が説明、右が絵となった。
一枚づつ、進め。
そういう展示デザインになったあたりから、もう逃げ出したくなって、あとは適当に流して帰ってきてしまった。
とにかく、疲れた。
美術館は、自分のスピードで、自分のルートで歩きたい。
だって、それがどんな有名な絵でも心に響かないときもあるし
何の情報がなくても、絵が自分の中に突然飛び込んでくることもある。
説明なんてさほどいらない。
一枚づつ、勉強しながら見たくなんて、ない。
というわけで、なんか消化不良だったので、パリのポンピへ。
ここは相変わらず、ほんまええ場所。
勝手に歩き回って、勝手に好きになったり嫌いになったりして
そんでもって監視員の方々もほんま自由で、ええ。
そして何度来ても、微妙に展示は変わっていて新しいものに逢えるし、企画展はいつも本当にすばらしい。
今回はクレー。
いやはやー。
クレー天才なのは知ってたけど、ほんとすげー。
すげーすげー、わーすげー、とつぶやきながら歩いていた謎のアジア人は私です。
クレー展は8月1日まで。もう終わっちゃう。次はどこかに行くのかしら?
もう一個やっていたのは、Beat generationって企画展。
1950〜60年代あたりのアメリカのビートニクス系。なんか、今年は服飾博物館はバービー展をしているし、ヴィレットでは007展で、街はハンバーガーが大流行で、お店にはStar Warsグッズ満載と、パリはアメリカブームぽい。
どうしたんだ。
内容は私にはあまりピンと来ないものが多かったけど、展示はめちゃかっこよかった。
いいなあ、こんな展示、やってみたい。空間も手法も、本当に豊か。
パーマネント収蔵品の階も、展示替えが結構あって非常に楽しんだ。
やっぱこれがいいー!
誰の作品なんてわかんなくてもいいもんね。
一枚づつお勉強みたいに見るのより、絶対楽しい。そして、このぐらい空いてないとやっぱ、あかんー。
ありがとうポンピ。
ポンピ、ビバ。
2、ジュードポムのJosef Sudek展
ジュードポームって、テニスの前身だって知ってました?
この建物、ジュードポームについてはまた別に書きますわ。長くなるので。
で、ここはちょい前から写真と映像専門の美術館になっているので、そこでやっているJosef Sudek展へ。
チェコの写真家。この人のこと、私は知らなかったんだけど、街でみかけたこの写真に心がぎゅっと掴まれて、もう身動き取れなくなっちゃったので。
アトリエの窓から
という一連のモノクロ写真。
ナチス支配下で灯の消えたプラハの街の風景、結露した窓から見える庭が、ガラスの水滴で変幻していく不思議。
あとから、1976年に亡くなった、「プラハの詩人」と呼ばれたチェコ出身の写真家であることを知った。会場に流れていたビデオで、片手だけでカメラを扱っているのを見て不思議に思っていたら、第一次世界大戦へ出兵中に右腕を負傷し、のち失って片手となったのち、1920年代に写真家として活動をはじめたのだそうだ。
水木しげるさんパターン。
なにもかもが心にぐっとくる風景。
闇、水、光。
うわああ、ありがとうポム。
ビバ、ポム。
ほんで、ここでもう一つ開催されていたJoana Hadjithomas & Khalil Joreige。
知らない作家だし、さほど期待しないで入ったのだけれど、これ! 以前森美術館で数点来ていた作品の作家だった。
レバノン出身の女性映像作家で、夫と共同で映像や作品を作り続けている人。
森美に来ていたのは、戦闘で無惨に破壊されたレバノンの街の写真をタブローにしたもので、廃墟の美に通じる、鮮烈で印象深い作品だった。ほで、そのポストカードを自由に持ち帰ってよい、という展示スタイルも同じ。
そうそう、この作家さん。
流されていたドキュメントも見たけど、レバノンの状況、難民ボートでの過酷な体験など、彼女の創作のベースにあるものが胸に迫った。ほでも、そういう過酷な現実があっても、作品は洗練されていて、過剰なナショナリズムが存在しないのが、とても好感が持てる。
これ、巨大なミサイル。
日本ではロックフェスティバルに反体制持ち込むのもだめー、って状態になってしまっているけど、音楽やアートは、こうしてニュートラルに「私たちに起きていること」を伝えられる、至高の手段だと私は思う。
また出会えて、よかった。こういうのは縁だと思うので、またどこかで出会えることを願って。
レバノンのこと、調べてみたくなりました。
再度ありがとう、ジュードポム。
3,Senellierのオイルパステル
今回パリで買ったのは、ほぼこれだけかも。
噂には聞いていたけど、びっくりぽんの描きごこち。
オイルパステルでこんな風に絵が描けるなんて、はじめて知った。
しかもBHVで7月31日まで、20%オフだった!!!
日本で買ったら12色で3600円のパステルが、17ユーロちょい。
手前のは足して単色で買った子たち。後ろにはでっかい白1本。
ありがとうBHV.
ありがとうセヌリエ。
ほかにもいろいろあったような気がするけど、もうお腹空いちゃったので今日はおしまい。
たくさんいろんなことに出会った。
ありがとう、パリ。