今日のブログタイトルを見てすぐに、
映画のタイトルだと分かった人、
かなり映画に通じている人だと思う。
私は・・・この映画のことは知らなかった。
ほんの数行の映画解説を読んで、
「ま、ヘンなタイトルだけど、観てみるか。」
その位の気持ちで観た映画。
久々に、後に引く映画。
2006年公開映画。
日本では全国でわずか5か所の
劇場で公開されたのみ。
物語の舞台は1986年。
元人気作家で今は落ちぶれて、大学で講師をする父親と、
その父親とは逆に、作家となって間もないけれど
才能を認められ人気作家となった母親と、
12歳と16歳の2人息子。
物語はその夫婦の離婚から始まる。
インテリで、人を見下し、批判することによって
自分の威厳を保とうとする夫役には
ジェフ・ダニエルズ。
結婚中も、離婚後も恋愛遍歴を隠すことなく
息子たちに話して聞かせる奔放な母親役に
ローラ・リニー。
12歳の息子には、ケヴィン・クラインの愛息子、
オーウェン・クライン、
16歳の兄役は、「ソーシャル・ネットワーク」の主役だった、
ジェス・アイゼンバーグ。
とくに子役のオーウェン・クラインの演技の上手さには脱帽。
かなり露骨なシーンもあるけれど、見事に演じている。
脚本も素晴らしいのだけど、名優ばかりだから、
完全に映画の中に入ってしまい、
映画を見ている・・・というより、
透明人間になって、この家族の中に入り込んで、
覗き見をしていた気分になった。
4人が4人とも、強烈な個性。
そして、痛々しくもあり、愛おしくもなる。
愛に飢えた長男の本心が見えた部分では胸がツーンときた。
徹底的に人間の弱さ、傲慢さ、優しさ、
そして強さを見せつけてくれる。
この類の映画は、あまり解説や
あらすじを読まない方がいい。
ネタばれになりたくないので、
これ以上は書かないけれど、
最後に、この映画の不思議なタイトル、
「イカとクジラ」の意味がわかる。
よく、邦題をつけるときに映画の本題からかけ離れた
ものをつけて、映画を台無しにしてしまうものがある。
この映画、原題そのままの直訳が使われていてよかった。
そして、この「イカとクジラ」の意味するところは、
人それぞれ、解釈が違うと思う。
答えは一つではない。だから面白い。
映画の挿入歌、ピンク・フロイドの
「ヘイ・ユー」がまたいい。
「イカとクジラ」公式HPはこちら★